マハシ・ハマム(エジプト)

エジプト人が最高の味と考えているハト
の詰め物焼き。
 羽毛をむしり、頭、翼と足の先を切り取
り、臓物を出して、代わりに詰め物をする。
詰め物はにんにくとたまねぎのみじん切り、
ひき肉、乾燥麦芽に、好みのスパイスを加
えて練ったものが代表格。
 炭火の上で焼くと、ハトの脂がしたたり
落ちて、こうばしいにおいが漂う。詰め物
によく火が通ってハトの胸がふくらみ、汁
がわき出てくれば食べごろである。
 マシユイ・ハマムというハトのロースト
もある。これは皮まではいで、酢とスパイ
スの効いたソースに漬けておいてから、炭
火で丸焼きにする。エジプト人にとっては
これもごちそうなのだが、カリカリしてい
て身が少なく、物足りない感じがする。日
本人にはマハシ・ハマムの方が向いている
ようである。

 アラブとその周辺諸国は、どこにでもハ
ト料理があるが、エジプトはとくに盛んで、
村々にはレンガを積み上げて造った塔のよ
うなハト小屋がたくさんある。塔の周囲に
は多くの穴が開いていて、ハトが自由に出
入りしている。塔の中にたまるハトのふん
は肥料にする。