茶がゆ・茶飯(奈良県)

米を茶で炊いたもので、ともに古寺の僧
房から起こったといわれている。
 かつて大和地方では、「朝食は茶がゆ」と
習慣化されるほど、庶民の中に受け継がれ
た伝統の味である。
 茶がゆに用いるのは番茶。釜に湯をわか
し、布袋に入れた番茶を入れて煮出し、そ
こへ洗った米を入れて強火で炊く。吹きこ
ぼれそうになるところを、何度もかき混ぜ
ながら炊く。粘りけのない、さらっとした
仕上がりになるD味つけは塩をひとつまみ。
茶飯は、本来僧の食事や法事の席に出さ
れた炊き込みご飯であったが、これも一般

庶民の生活の中に息づいている。番茶や前川
茶の煮だし汁に塩を少々加え、この汁で米
と大豆を炊き込む。大豆は米の分量の二割
ほどとし、あらかじめいって皮をとってお
く。茶の香りとほのかな塩味がロに広がり、
上品な味わいがある。

 おかゆは、「京の白がゆ、大和の茶がゆ
といわれているが、京都の白がゆのぜいた
くさに比べて、奈良の茶がゆ、とくに辺地
のかゆは、米不足から米を大切にして食べ
た、という倹約精神を生かしたもの。