たこの直煮(兵庫県)

かつてはたこつぼ漁の本場であった明石
の林浦に伝わる郷土料理。
 とれたてのたこを、小いもやだいこんな
どとともに甘辛く煮たもので、総菜、酒の
肴として親しまれている。
 生のたこはぬめりがあるため、まず塩で
よくもみ出して水洗いし、一口大に切る。
小いもやだいこんもたこと同じくらいの大
きさに切って、鍋に油をしいてたこをいた
め、色が赤く変わったらいもやだいこんを
入れ、しようゆ、砂糖、酒を加えて煮る。
たこから水分が出るため、水を加えずに煮
ることかおいしく作るポイント。
 新鮮なたこは、軟らかい歯ざわりで、た
このうまみがしみ込んだ小いもやだいこん
もおいしい。
とれたてのたこは刺身が絶品。ふぐ刺し
のように薄く切り、わさびじょうゆで食べ
るが、白く透き通った身は軟らかく、とろ
けるような舌ぎわりと甘みがある。また、
小さく刻んだたこを使う炊き込みご飯も、
たこから出る赤い色が美しく、味わい深い。