船場汁(大阪府)

商人の町大阪の中でも老舗が集まる船場
で生まれた庶民的料理。
 材料はさばとだいこん。三枚におろした
さばは二十二時間塩でしめ、一口大に切っ
て場引きしておく。だいこんは薄い短冊切
りにする。こんぶでとっただし汁に塩、し
ょうゆを加えて味を整え、だいこんを煮る。
さらにさばを加、え、アクを抜きながらトロ
火で静かに煮る。中まで火が通ったら椀に
盛り、おろししょうがやさらしねぎなどを
ちらして食べる。質素ながら、さっぱりと
したすまし汁の味は捨てがたい。
 
 以前は、食べ残りのさばのあらだけで作
つた汁で、さば一匹から一〇八分は作れた
など、船場商人の合理的精神が現れていた。